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遺言その5  マイナス財産(債務)について考える。

債務の扱い

ア 判例によれば、金銭債務その他の可分債務は各相続人が相続分に応じて分割承継するとされています(分割債務説)が、これは債権者に対する関係においてであり、相続人、受遺者間における内部的負担については、遺言で上記割合とは別に定めることはさしつかえありません。例えば「前項掲記の遺言者の長男Aは、上記財産を相続する負担として、遺言者の債務一切を負担、承継するものとする。」とか「遺言者は、次の費用債務等を長男Aに負担させるものとし・・・」が考えられます。

 

イ 第三者に遺産全部を寄付する場合

このような遺言がなされると、遺産をもらえなくなった相続人(例えば、疎遠な兄弟)も債務を相続することになります(相続放棄は可能です。)。もっとも、第三者に包括遺贈するのであれば、民法990条により、相続人でない受遺者(例えば公益団体)も債務を相続しますから、包括受遺者が債務を弁済することは可能です。

さらに具体的に手続化するなら、遺言執行者に負担が大きいかもしれませんが、「遺言者は、その有する財産全部(下記の不動産、預貯金を含む)を換価し、その換価金から遺言者の一切の債務(日常家事債務、租税公課、入院・介護費用を含む)を弁済し、かつ、遺言の執行に関する費用(不動産処分手数料を含む)及び遺言者の葬儀に関する費用を控除した残金を次の者に遺贈する。」という表現も考えられます。