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成年後見制度  その4

1 任意後見監督人

(1) 任意後見監督人選任の申立て(法4条)

本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見人になることを引き受けた人が家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てをします。

ただし、本人以外の者が申し立てて選任を行う場合で、本人が意思表示ができるときは、本人の同意が必要とされます。したがって、本人が後見開始を望んでいないのに後見が開始することはありません。

(2) 任意後見監督人の選任はなぜ必要なのか?

任意後見事務は、本人の判断能力が低下した後に開始するため、適正な事務が行われているかを本人がチェックできないので、任意後見監督人にこれをさせるものです。

(3) 任意後見監督人の職務(法7条)

任意後見人から事務処理状況の報告を受け、これに基づき任意後見人の事務処理状況を家庭裁判所に報告をし、その指示を受けて任意後見人を監督します。

2 任意後見人、任意後見監督人に対する報酬等 

(1) 任意後見人の場合

委任契約ですから、報酬は、有償でも無償でも自由に決められます。ただし、親族の場合は、特別な場合を除いて無報酬が一般的です。

弁護士や司法書士等の専門家の場合は、職務として行うので有償となります。

(2) 任意後見監督人の場合

報酬が支払われることとなっていて、その額は、家庭裁判所が本人の財産の額、任意後見人の報酬額、監督事務の内容などを考慮して無理のない報酬額を決めています。

3 任意後見の登記と登記事項証明書  

(1) 任意後見契約を結ぶと、誰が誰にどのような代理権を与えたかという契約内容が、公証人によって登記されます。これを後見登記といい、東京法務局の後見登録課で全国のものを一括して登録管理しています(後見登記に関する法律5条)。

(2) 登記が終わると、任意後見受任者の氏名や代理権の範囲などを記載した「登記事項証明書」の交付を受けることができます(後見登記に関する法律10条)

任意後見人は、任意後見契約が効力を生じると、この証明書により代理権を証明することができ、それによって円滑な事務処理ができます。銀行や郵便局など金融機関へ任意後見開始の届出をするときには、この証明書が必要になります。

4 任意後見契約の解除

契約の解除は、家庭裁判所が任意後見監督人を選任する前ならいつでも可能です。解除は当事者の一方からでも、双方の合意によってもできますが、いずれも公証人の認証を受けた書面が必要になります(法9条1項)。

また、任意後見監督人が選任された後は、正当な事由がある場合に限って家庭裁判所の許可を得て契約を解除することができます(法9条2項)。