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成年後見制度  その3

1 任意後見人(受任者)

(1) 任意後見人は身内の者でもなれますか?

ア 法律で任意後見人としてふさわしくないと定めている事由がない限り、子、兄弟姉妹、甥姪等の親族、親しい友人など、成人であれば誰でもなれます。

イ 任意後見人になれない者は次のとおり(法4条1項ただし書)。

家庭裁判所で法定代理人、保佐人、補助者を解任された者、破産者、行方不明者、本人に対して訴訟を提起した者及びその配偶者並びに直系血族、不正な行為、著しく不行跡その他任意後見人の任務に適さない事由がある者

(2) 身内の者がいない場合の任意後見人は?

弁護士、司法書士、行政書士、社会福祉士などの専門家や社会福祉協議会、社会福祉法人、NPO法人などを選任することができます。ただし、専門家、法人の場合は仕事として行うので報酬が必要となります。

 任意後見人の職務 

(1) 職務の範囲

当事者の合意によって職務の範囲を決めるもので、当事者の社会的地位、生活状況、財産状況、契約締結の動機などによって異なったものになります。 これらの中でも職務を制限することもできます。

例えば、財産管理でも「不動産の処分は含まない。」とか、「生命保険契約を除く。」とか、「預貯金の払出しは、月額20万円以内にする。」とか、制限をすることができます。

また、一定の職務については、任意後見監督人の同意を要するとすることもできます。さらに、2名以上の任意後見人と契約して、二人共同でなければ職務が執行できないようにすることもできます(勿論、それぞれ単独で代理権を行使できることもできますし、代理事務を分掌することもできます。)。

(2) 職務の開始

委任者が自分の財産管理等を十分にできなくなり、家庭裁判所が任意後見人を監督する任意後見監督人を選任したときから契約の効力が発生し、任意後見人はの職務が開始します。

(3) 事務処理費用の負担

任意後見人が事務処理をするのに必要な費用は、任意後見人が管理する本人の財産の中から支出します。