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遺言その9  遺言事項(まとめ)

 

遺言できる事項をまとめて概観し、必要なコメントを付します。

(1) 法律で定められている事項

ア 相続財産(遺産)に関する事項

・遺贈(民法964条)

・遺産分割方法の指定、指定の委託(民法908条)

・相続分の指定、指定の委託(民法902条)

・遺産分割の禁止(民法908条)

・(一般財団法人設立の寄付行為)

・信託の設定(信託3条)

・生命保険受取人の指定・変更(商法675条1項、保険法44条1項)

もっとも、保険会社に通知しなければ保険会社は受取人の変更がわかりませんので、遺言で受取人が変わったっていうことを知らないで元の受取人に払ってしまう可能性がありますから、対抗要件に留意する必要があります。そこで、文例として「 遺言者は、その有する下記の生命保険金の死亡保険金受取人をAから次の者に変更する。2 遺言執行者は、この遺言が効力を生じた後、速やかにB生命保険相互会社に対し、前項による死亡保険金受取人の変更を通知し、所定の手続きをとるものとする。」などが考えられます。

・特別受益の持戻し免除(民法903条3項)

一部遺言の場合は前述しましたが、生前贈与の場合の文例として「遺言者は、その有するB株式会社の株式を遺言者の長男Aに贈与してあるところ、相続分は同贈与がなかったものとして算定すべきものとする。」

・相続人相互間の担保責任の設定(民法914条)

・遺贈分方法の指定(民法1034条但)

文例として、「遺言者は、遺留分の減殺について、まず第2条掲記の現金、預貯金からすべきものと定める。」などが考えられます。

イ 身分に関する事項

・推定相続人の廃除とその取消(民法893条、894条2項)

・子の認知(民法781条2項)

・後見人、後見監督人の指定(民法839条、848条)

ウ その他

・祭祀承継者の指定(民法897条1項)

・遺言執行者の指定又は指定の委託(民法1006条1項)

(2) 付言 法定の遺言事項以外のもの

法的な拘束力はありませんが、遺言内容の説明や理由を書いて理解を得やすくするとか、葬儀のあり方、あるいは、残された配偶者や子などへの希望・注文・感謝を表現することも有用ではないかと思います。